ナポレオンに元英国首相のマーガレット・サッチャー、ツイッターの創業者でスクエアの最高経営責任者（CEO）のジャック・ドーシーやヤフーのCEOのマリッサ・メイヤーなど、成功を収めた多くのリーダーたちは、睡眠時間は１日に４〜５時間で十分と述べています。

しかし、これについて世界的な科学者で、The Unlimited Mind.のCEO であるタラ・スワート博士は「多くのCEOや世界のリーダーを含め、私たちの大多数には当てはまらない」と話しています。スワート博士によると、一晩眠らないだけでも私たちのパフォーマンスに「壊滅的」な影響を与えるといいます。さらに、「1日４時間の睡眠で耐えられるのは全人口の１パーセントから２パーセント」と言い「大多数の人にとって７時間〜８時間が最善の睡眠時間」と主張しています。

　仕事の成功と睡眠の質

それでは仕事の成功と睡眠の質には関連性があるのでしょうか。

「リラックスした状態とリーダーシップには強い相関関係がある」

こう話すのはインディアナ州ノートルダム大学の准教授で、同大学の睡眠・ストレス・記憶力研究所の所長を務めるジェシカ・ペイン氏。「大抵の人は７時間〜９時間の睡眠を必要とするが、ほとんどの人がそれほどの睡眠時間を取れていない」と述べ、睡眠は食事や運動と同じくらい重要、と加えました。

　長期的なダメージになる恐れも

私たちは皆、日頃の睡眠不足は週末などに補えばいいと考え、多くの人が何年も睡眠を十分にとることをないがしろにしている傾向にありますが、こういった習慣を長期間続けていると大きな問題を招く恐れがあります。ペイン氏も、長期に及ぶ睡眠不足はさまざまな問題を引き起こすと述べています。記憶障害、意思決定能力の低下、創造性の欠如、個人的感情の調整能力の低下などが初期に現れる症状だと言います。

また、スワート氏は睡眠と知能指数の関係性について以下のように述べています。

社会的能力や情緒安定は睡眠と大きな関わりがあり、睡眠不足は「リーダーシップを発揮する上で大きな問題となる」とペイン氏は言います。睡眠が十分でないと怒りっぽくなります。そして多くの人は職場や家庭で自分の感情をコントロールし、人と社交的に交流するうえで、睡眠がどれほど大切かということを理解していないとペイン氏は述べています。

何らかの睡眠障害があると知能指数（IQ）が５〜８ポイント低下します。私たちは睡眠不足で多少意識がもうろうとしていても、そのまま仕事を続けてしまいますが、多くの研究で、一晩寝ないとIQが１標準偏差下がるということが明らかになっている。つまり「学習障害があるのと同じくらいパフォーマンスが低下する」ということです。

　仮眠の重要性

では、忙しくて十分な睡眠が取れないひとはどうすればいいのか。

「パワーナップ＝仮眠（３０分以下の短い睡眠）」は誰しも聞いたことのある言葉ではありますが、その意味を正しく把握している人はほとんどいません。スワート氏、ペイン氏も、個人やリーダーとして成功するための最も重要なステップの一つとして、仮眠の重要性を強調しています。そして、パフォーマンスを上げたいという人は仮眠をとることを強く勧め、仮眠の効果を絶大と述べています。

しかしながら、どうしても時間がないという場合は瞑想などで心を落ち着ける時間や目は覚めていてもリラックスしている状態を確保することで、ストレスの解消や脳の活性化が促され、仕事の効率やパフォーマンスの向上につながるそう。

参照元；Why missing a night of sleep can damage your IQ