米ハンプシャーに住むミック・デラハンティさん（55）とローリーさん(56)は、新型コロナを世界中が席捲する’20年6月に結婚式を挙げた。世界中の恋人たちが結婚式や披露宴を先延ばしにする中、あえて式を挙げたのは理由がある。

『僕たちは紆余曲折を得て二度同じ相手に巡り合ったからさ！コロナどころじゃないぐらい僕たちの人生は山あり谷ありだった。』ミックさんが語る2人の出逢いはいつからはじまったのか。

女の子の憧れの的だった夫との結婚

ミックは学生時代にロックバンドを組んでいて、当時は全米ツアーに出るほどの有名人だった。ツアーで長い間休学する事もあったが、甘いマスクと愛想の良さで女の子の憧れの的。ローリーは1つ年上で見向きもされないだろうと諦めていた。

2人の馴れ初めは、ほんの些細な事だった。教室で自習していたローリーの前を通ったミックが声をかけた事だった。『彼が私に声をかけてくるだなんてありえない。顔見知りでもなんでもないのに。これはチャンスよ、捕まえなきゃ、と思って、すっかり話し込んでしまったわ。』

それ以来2人は意気投合し、ミックが全米ツアーに出ている間、離れ離れになっても文通したり電話をしたりして、お互いを繋ぎとめていた。

そして’89年10月、2人は結婚。ミック24歳、ローリー25歳。ハンプシャーに家を買った。

豪邸に住み子供にも事業にも恵まれた

結婚して2年後の’92年、長男マイルズが生まれ、’94年には長女クレアが生まれた。その頃にはミックのバンドの人気は下火になり、ミックはローリーの弟の建設会社で数年間働き資金を貯めて、スイミングスクールを立ち上げた。

ローリーは結婚前に東芝でマーケティイング部門のチーフとして活躍した後、マーケティング会社を立ち上げ、LGやサムソンを顧客につける程、事業を拡大させるヤリ手となっていた。

ミックとローリーは子供たちを私立の学校に通わせ、’03年には89万ポンド（1億3000万）の豪邸をハンプシャーに買った。表面上は何もかも満たされた成功者となった2人。だが失うものは大きかった。

『私たちは元々裕福な出ではないの。言葉悪くいえば成金も同然。後々のトラブルを招いたのも別れたのも自業自得だったのよ。』

お金と共に得たのはママ友との格差、相次ぐ不幸

ミックとローリーは近所の社会的地位や付き合いに馴染めなかった。毎週末ワインやシャンパンボトルを何本も開ける派手なパーティー。高いレストランでの見栄っぱりなランチ、子供の教育自慢…日本でも外国でも変わらない。

7号だったローリーの体形は20号に膨れ上がり、表面上の付き合いに耐えきれず、彼女はアルコール中毒になってしまった。

『毎週末のパーティーごとにボトル6本もワインをあけるのよ。ミックはヘラヘラ笑っているだけで何の助けにもならない。家に帰って癒されるのは1人でボトルを開ける時だけだったわ。』アルコールに逃げるようになったローリーとミックの間は疎遠になっていった。

’07年ローリーとミックにさらなる不幸が襲う。

’07年1月に2人を結婚に導いた親友が交通事故で亡くなり、ミックの祖父母も亡くなった。同じ月にミックの父が突然亡くなり、ミックのショックは隠しきれないものになった。

その年の夏、2人の息子のマイルズが最も慕っていた演劇の先生が心不全で亡くなった。ローリーがしっかりしていれば、何とかなったかもしれないが、ローリーを襲ったのは月1000万の売上があった取引先がなくなった事だった。

時はリーマンショック直前。当時、長男マイルズはロンドンのギルダオール奨学金を得ていて無事学業を継続できる目途が立っていたが、長女クレアは私立から公立に移らざるをえなくなった。

10年前の離婚のきっかけは夫

ミックとローリーが正式に離婚したのは10年前。だがローリーは『もう終わりにしよう』と思ったきっかけはもっと早かったという。

それは’07年10月の結婚18周年だった。ローリーが大口取引先を失って困窮している時にミックはバカッ高いレストランを予約してパーティーを開いたのだ。

生活に困窮している時に、こんな金を使わないで欲しいと思うのが女性の考えだろう。2人はお祝いの席で口論になり、あろうが事にミックが先にレストランから出て行ってしまった。『こんな危機管理のなっていない人は二度とごめんだと思ったのです。』

その後、2人は豪邸を売り払い、ローリーはダウンサイズした家のローンを払い、ミックは新居の近くのマンションに住み、’10年に正式に離婚した。

だが’15年になり、彼女の会社もビジネスに行き詰まり、たたむ羽目になった。一時止まっていたアルコール中毒が再発した彼女は飲みまくり、帰宅したマイルズに発見された時は、昏睡状態で床に突っ伏している所を発見され九死に一生を得た。

『私から仕事を取ったら何も残らない。どうすればいいのと何も考えられなくなったんです。』同じ時期ミックに無職だからという理由で住宅ローンの支払いを懇願した所、一蹴されたことも彼女にとってみればこたえたかもしれない。

今度こそ元妻は他の男性に取られる

ローリーとミックが再会したのは’15年9月。ローリーが救急搬送された2か月後。クレアの21歳の誕生日だった。

その頃ローリーはマッチングサイトで知り合ったミックより10歳若い元落下傘部隊の男性とデートをしていた。それをミックが知っていたのか知らなかったのか、ローリーが何年かぶりの再会の挨拶をする前にミックがハグしてキスしてきたのだ。

失業した時も電話一本で知らん顔して、住宅ローンの支払いも一蹴した男だったのに？5年近くも放ったらかしにして、元妻がいつまでも泣きついてくるとでも思ってるの？

『娘曰く、今度こそ他の男性にとられてしまう、結婚を申し込まれて遠い所に行ってしまうってパパは必死だったのよって言ってたわ。』とローリーは振り返った。

20年かけて腹を割って話す時が来た

娘のクレアには、もしもパパ（ミック）と再婚することがあったなら、こんどこそお互い腹を割って本音を話して、と言われていたというローリー。そしてお互いのなおして欲しい所、いい所は包み隠さず確認してから結婚して、と言った。

『子供たちは私が我慢しつづけてきたから、アルコール中毒になったのを知っていた。私にとって夫は憧れの存在から入ったから我慢して当然と思うのがあたっり前だったのかもしれないの。』それから彼女はミックに改めて向き合い腹を割って話すことにした。

ミックは以前はヘビースモーカーだったが、彼女と別れた後、禁煙グループに入り禁煙していた。お酒もやめてヘルシーな生活を送っているが、無言実行タイプだった事をローリーは知らなかった。

そんな彼をみならい彼女も自助グループに入り、今はアルコールをやめ、ミントティーを飲んでいる。

私たちは他のカップルに比べて人生の節目が沢山あり、山も谷も沢山あったわ。それに比べれば新型コロナはなんてことはないんじゃないかしら。そう語るローリーの笑顔は本物なのかもしれない。

https://www.dailymail.co.uk/femail/article-9140643/We-love-married-twice.html