今回は１３歳の少年パパラッチを追ったドキュメンタリー映画を紹介したいと思います。パパラッチといえば、セレブを追いかける側ですが、今回は立場逆転、なんとセレブが少年パパラッチに密着します。

映画「プラダを着た悪魔」で主演のアン・ハサウェイの恋人役でも出演し、アメリカのテレビドラマ「アントラージュ★オレたちのハリウッド」でセレブの俳優役を演じて自身もセレブの仲間入りを果たしたエイドリアン・グレニアーが手がけたドキュメンタリー映画『ティーンエイジ・パパラッチ。エイドリアンは2002年に18年間音信不通だった自分の父親を捜すドキュメンタリー映画「SHOT IN THE DARK」で監督デビューし、『ティーンエイジ・パパラッチ』は監督第2作目。日本では２０１１年に劇場公開された作品です。

あらすじ

人気俳優なだけにエイドリアン・グレニアーは外に出ればパパラッチに追い回される日々。そんなある日、パパラッチの集団の中にカメラを構える1人の少年がいることに気付く。それが弱冠13歳のオースティンだった。まだ幼いこのパパラッチ少年に興味を持ったエイドリアンは、密着取材を試みる。普段は追われる立場のエイドリアンが逆に少年オースティンを追い、その生活とパパラッチぶりをカメラに記録。

何と言っても13歳の少年がパパラッチをしているということに非常に興味がわきました。そんな子どもが大人に混ざって、お金を稼ぐ。しかも大人がきちんとお膳立てをしてくれるハリウッドの子役俳優ではなく、パパラッチです。パパラッチ事情が詳しいというわけではありませんが、テレビなどで役者に群がるあのパパラッチの映像を見る限り、我先にと闘争心むき出しでまさに競争。並大抵の神経では務まるものではないと想像がつきます。そんな世界に幼いうちから紛れ込んでいたら、どんな人格が形成されてしまうのか。案の定、このオースティンくん、13歳にしてえらく生意気な口を叩く小僧でした。その仕事ぶりは大人顔負けといったところなので無理もないかもしれませんが…ホントに生意気です。そうは言っても13歳といったら多感な年頃、密着取材をするエイドリアンと接することである変化がみられます。1人の少年の成長ドラマという角度から観ても楽しめる作品でもあります。

もちろん、ハリウッドのセレブを追う“パパラッチ”がテーマの作品ですから、豪華なハリウッドスターたちの日常の姿も拝見できるうえに、その本音も聞けちゃいます。ゴシップには欠かせないパリス・ヒルトンやリンジー・ローハンをはじめ、「デスパレートな妻たち」のエヴァ・ロンゴリア、インテリ俳優のマット・デイモンなどもインタビューで登場します。

この作品を観てから、パリス・ヒルトンの印象が少し変わりました。パパラッチをウザいとは思いつつも、パパラッチのおかげで商売が成り立っている、彼らはハリウッドの必要悪と断言。パパラッチへの対応もいたって冷静でみょうに素敵に見えました。“お騒がせセレブ”の印象がまったくなく、これが生まれながらのセレブの貫録かと思わされました。

マット・デイモンはどうやらパパラッチを敵視しているよう。親友のベン・アフレックが受けた侮辱をまるで自分のことのように語っているところがなんだか微笑ましかったです。

パパラッチの現状はもちろんのこと、スターに憧れる、生活を覗いてみたいなどの心理的な面から見た人間の本質みたいなものも語られていて内容は意外と深く、観る人により様々な印象を受ける作品ではないかと思います。

驚いたことにオースティンくんがパパラッチとして初めて撮影した人物がエイドリアンだそうで、これは単なる偶然なのでしょうか。何か縁のあった2人なのかもしれませんね。