いつの時代も女性は強い『ヘルプ〜心がつなぐストーリー』
2月28日にアカデミー賞が開催されますが、役者系のオスカーノミネーションが2年連続で白人が独占したことでハリウッドの人種問題が浮き彫りになりました。大ヒット映画『ストレイト・アウタ・コプトン』や『クリードチャンプを継ぐ男』はともにアフリカ系アメリカ人の俳優が主演を務めたのにもかかわらず、ノミネートされたのは白人のみでした。この結果に差別的だと怒りをあらわにする人が続出しました。差別問題はなくなることはやはりないのでしょうか…しかしながら、そういった中を生き抜く人というのは本当の人間の強さを持っているように思います。今回は人種問題をテーマにした映画『ヘルプ〜心がつなぐストーリー』を紹介したいと思います。
この作品は2012年に日本で劇場公開され、全米でベストセラーとなった小説を映画化したヒューマン・ドラマです。1960年代の白人家庭でメイドとして働く黒人女性たちと、それを目の当たりにするジャーナリスト志望の白人の若い女性が街に改革をもたらす様子を映画いた感動作。『アメイジング・スパイダーマン』のヒロイン役を演じたエマ・ストーンが親しみを感じさせる好演をみせ、黒人のメイド役のヴィオラ・デイヴィススはこの作品でアカデミー主演女優賞にノミネート、同じく黒人メイド役のオクタヴィア・スペンサーはアカデミー助演女優賞を獲得しています。
あらすじ
1960年代前半のアメリカ南部。大学を卒業したスキーター(エマ・ストーン)は故郷であるミシシッピ州の街に戻り、地元の新聞社に就職する。初仕事は家事に関するコラムの代筆。しかし家事の知識がないスキーターは、友人宅の黒人メイド、エイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)に力を借りる。取材を続けるうちに、スキーターは白人社会におかれたメイドたちの立場に疑問を抱き始める。真実を探ろうと、メイドたちのインタビューを試みるスキーターだったが、黒人のメイドたちは、この街で生きてはいけなくなることを恐れ、それに応じる者は誰ひとりとしていなかったのだが…
テーマが人種差別問題ということで、社会派色が強めでちょっと重い気分になってしまいそうですが、時にはユーモアにも溢れ、切実な問題を取り上げているにもかかわらず、決してどんよりすることなく、人間の強さ、特に女性の強さを痛感できる作品です。やっぱりいつの時代も女性は強い!すばらしいですね(笑)
60年代のアメリカと言えば公民権運動が盛んだった時代なので、作中にさりげなくキング牧師の演説のシーンが挿入されるなど、当時の黒人社会というものがリアルに描かれていますが、そんな時代に強く賢く明るく、前向きに生きる黒人メイドたちの姿に感銘を受けます。恵まれた時代に生まれ、しかも日本と言う国で育った自分には到底だせないと思われる彼女たちの底力、そして本当に強い人でないと持てない真の優しさに、ただただ脱帽です。
そして、本を出版して黒人メイドたちの立ち位置の真実を明かそうと奮闘する白人のスキーターの決して考えがブレない生き方も観ていてスッキリします。たとえ強い信念があったとしても、あまりにも大きな障壁があると、たいていはあきらめてしまったり、方向転換をしてしまったりするものですが、彼女はブレないのです、絶対に。それが原因で男が去ろうがなにしようが、です。
また、本作はストーリーだけではなく、映像でも楽しませてくれます。60年代の鮮やかなファッションや黒人メイドが作る南部料理の数。とくにフライドチキンがとってもおいしそうなのですが、そもそもフライドチキンはアメリカ南部の黒人奴隷の伝統料理で、もともとは黒人しか食べなかったらしいです。黒人のメイドが調理して白人家庭の食卓に並ぶようになり、南部の白人にとっても欠かせない食文化になり、そしてケンタッキーフライドチキンができたわけです。(ケンタッキーのところは勢いで言ってみただけです(汗))
ちなみに、メインの黒人メイド2人のうちのミニーのほうが白人の元雇い主にある復讐をするのですが、そこはちょっぴりエグイので、注意してください☆
脇役の白人家庭の奥さま役の女優さんたちも好演をみせていますので、そのあたりも注目してご覧になってみてださい。
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