シャネル映画の本家版『ココ・アヴァン・シャネル』
『ココ・アヴァン・シャネル』は、ハイブランド「シャネル」の創始者で世界的ファッション・デザイナーであるココ・シャネルがファッション界の究極のアイコンとなる前の若き日を描いた伝記映画です。孤児院育ちの少女が、後にオートクチュール・ブランドを興すまでのガブリエル・“ココ”・シャネルの生きざまを、「アメリ」のオドレイ・トトゥが演じています。シャネル社も全面協力したという、シャネル映画の中でも本家版と言える作品。
あらすじ
母親を亡くし、父親に捨てられたガブリエル・シャネル(オドレイ・トトゥ)は姉のアドリエンヌ(マリー・ジラン)と共に孤児院で少女時代を過ごす。やがて、仕立て屋でお針子をしながら、歌手になる日を夢見て姉と一緒にキャバレーで日々、歌っていた。そんなガブリエルはある日、裕福な将校エティエンヌ(ブノア・ポールヴールド)と出会い愛人となり、彼の支援で歌手になる夢も膨らんでいくのだが…
映画のタイトルの“COCO AVANT CHANEL(ココ・アヴァン・シャネル)” は英題で “COCO BEFORE CHANEL(ココ・ビフォー・シャネル)” ということでタイトル通り、世界のファッションブランド「シャネル」が誕生するまでのココ・シャネルを描いた作品ですが、物語のメインとなっているのは、ココ・シャネルが生涯愛したと言われているイギリス人青年実業家のボーイ・カペルとの恋愛。こちら2009年9月に劇場公開されたのですが、同じ年の1ヶ月前の8月に同じくシャネルの伝記映画「ココ・シャネル」が公開されました。
私は両作品ともDVDで観賞したのですが、先に「ココ・シャネル」を観てしまったので、こちらの『ココ・アヴァン・シャネル』は正直言いますと、少々物足りなさを感じてしまいました。なんと言っても、シャネル社が全面協力、そしてココ・シャネルを「アメリ」のオドレイ・トトゥが演じるということでかなり期待してしまったこと、そして第一弾の「ココ・シャネル」と比べてしまったこともあり、なにか今ひとつと思ってしまいました。第一弾は15年間一線を退いていたシャネルがファッション界復帰に挑むところから始まり、ここまで来た道のりを回想する、という展開なのですが、これがドラマティックに仕上がっているのですよ。どちらも大筋は同じといえば同じなのですが、本作『ココ・アヴァン・シャネル』は何か足りない。ただのラブストーリーにもとれてしまう可能性大でもあるし。
しかしいろいろと調べてみると、本作のほうがガブリエルと呼ばれていたころのシャネルを限りなく忠実に描いている様子。シャネルはもともとデザイナーになりたかったのではなく、生きるために帽子をつくり、そして洋服を作った。これはまぎれもない事実で、そのきっかけを作ってくれたのが、恋多きシャネルが唯一、一生涯愛し続けた人物ボーイ・カペル。よく考えてみればそれを語らずして、どうしてシャネルの誕生が語れるのか。
ただ、映画としては、肉付けがなさ過ぎて、あまりにも話の運びが淡々としすぎている、そして終わりかたもあっけない。見せ方の問題なのでしょうけど、これはフランス独特の感性なのかもしれない(?)ある意味、フランスという国の奥の深さを感じる作品です。本作のココ・シャネルが等身大に近い気もしますが、ちょっと物足りなさを感じてしまったという人は「ココ・シャネル」もご覧になるときっと満足すると思います。
ココ・シャネルの映画は2010年にも『シャネル&ストラヴィンスキー』が公開されています。(この頃シャネルラッシュでした)こちらはロシアの作曲家イゴール・ストラヴィンスキーとココ・シャネルの恋を描いた作品。これは観てはいないのですが、機会があれば観てみようと思います。
ココ・シャネル
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