映画『カポーティ』故フィリップ・シーモア・ホフマンの迫真の演技に脱帽
今回は残念ながら薬物の過剰摂取により2014年に46歳という若さで亡くなってしまった名優フィリップ・シーモア・ホフマンの代表作とも言える映画『カポーティ』を紹介したいと思います。日本では2006年に公開された作品です。
『カポーティ』は「ティファニーで朝食を」の原作者、トルーマン・カポーティの大ベストセラー小説「冷血」が完成にいたるまでの道のりを描いたカポーティの伝記ドラマです。「冷血」はカンザス州で実際に起きた一家惨殺事件の犯人と接触し取材を重ね、書き上げられたノンフィクション小説。カポーティはこの作品で“ノンフィクション小説”という新しいジャンルを切り開いたと言われています。それを題材とした、映画『カポーティ』はアカデミー賞で主要5部門にノミネートされ、トルーマン・カポーティを演じた俳優フィリップ・シーモア・ホフマンは真に迫った名演技で見事、主演男優賞を受賞。
あらすじ
―――1959年、カンザス州のどかな田舎町ホルカムで一家4人が惨殺されるという事件が起きた。作家のトルーマン・カポーティ(フリップ・シーモア・ホフマン)はニューヨーク・タイムズに掲載されたその事件の記事に目をとめる。あまりにも惨い殺人の手口にカポーティは衝撃を受けるが、同時に好奇心にもそそられ、この事件を小説にしようと思い立つ。幼なじみの女流作家ネル・ハーパー・リーを誘いすぐさま現地へと向かい取材を始めた。やがて2人の青年ペリー・スミス(クリフトン・コリンズ・ジュニア)とディック・ヒコック(マーク・ペルグリノ)が容疑者として逮捕される。カポーティは事件の真相を暴くべく、彼らへの接近を試みる。面会を重ねるごとに容疑者の1人ペリーの信頼を得ていくわけだが…
この映画は何度か観ているのですが、観れば観るほどトルーマン・カポーティという人物に興味がわいてくるんですね、これが。ゲイであることを隠すことなく公表、成金趣味だけどお洒落さん、酒癖が悪く、平気で人を裏切る、だけど愛情に飢えた寂しがり屋さんで情が厚いのか世話好き。なんだかミステリアスな人です。この作品はカポーティの書いた「冷血」という小説が完成するまでを描いたドラマですが、読んだことがない人は1度読んでみることをお勧めします。しかし、本なんて読んでる時間ない!という方は映画化された「冷血」をご覧になるのもいいかもしれません。人物設定や背景もかなり事実に迫っていることがわかります。先でもよし、後でもよし、です。ちなみに私はトルーマン・カポーティの「冷血」自体、この作品を観てから知ったので後から読みました。もちろん映画版も観ましたよ。
しかし、たとえ観なかったとしても心理サスペンス的なものが好きという方ならば、十分に楽しめる作品です。
この作品では、カポーティの人間性を暴いているようにも思えますが、要するに、人間なら誰しも持っている欲の一面を明示しているわけですね。やはり人は人を利用するということです。ただ、カポーティという人物は天才肌とも言え、その感受性の豊かさと人に取り入る術はそんじょそこいらの人とは違う。悪意も無邪気に見えてしまうわけです。そして、天才がゆえに複雑すぎるその精神状態。でもひょっとしたら人間のほとんどはカポーティ同様、実は複雑なのかもしれません。ただ単に、その複雑さが表面に出るか出ないか、というだけの話ではないのか…そんな風にも思えます。一般人は“常識”という言葉にとらわれ、無意識に自制が働いているのかもしれません。天才は型破りですからね、やっぱり。
この作品のキャッチフレーズ
“何よりも君の死を恐れ、誰よりも君の死を望む”
さて、あなたならどうとらえるでしょうか!?
とにかくフィリップ・シーモア・ホフマンの演技は圧巻。この作品でアカデミー賞主演男優賞を受賞しました。しゃべり方やしぐさまでカポーティの特徴を良くとらえ、まさに本人になりきった熱演です。どのくらい似ているかトルーマン・カポーティ本人の映像とくらべてみてください。
1971年の映像ですが、向かって右端の蝶ネクタイのおじさまがカポーティです。特徴をとらえた名演技だということがわかると思います。
1959年当時のトルーマン・カポーティ本人
こんな素晴らしい演技を見せてくれる俳優フィリップ・シーモア・ホフマンが亡くなったとのニュースを聞いたたきは本当に残念でなりませんでした。彼の演技を是非この映画で堪能してほしいです。
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