本当の意味での”理解”は簡単ではないかも、でも見ておきたい映画『プレシャス』
今回は少し重いテーマの作品を紹介したいと思います。主人公の名前がタイトルとなっている映画『プレシャス』は、黒人家庭での子どもへの虐待、そして黒人のおかれた社会的立場がテーマとなっている作品です。製作は2009年、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞、世界各国の映画賞を総なめにしたことでも話題となりました。
あらすじ
舞台は1987年のニューヨーク・ハーレム。主人公のプレシャス(ガボレイ・シディベ)は両親の虐待を受けながら悲惨な家庭環境で希望のない日々を生きる16歳の少女。
「貴い」、「大切な」といった意味を持つ言葉「プレシャス」。親が愛情をたっぷり込めて名づけたと思われるその名前とは裏腹に、少女の暮らしは過酷なものだった。
プレシャスは16歳にして2人目の子どもを妊娠している。相手は信じられないことに自分の父親だ。
実父にレイプされ1度のみならず2度も妊娠させられる。 そんな現実、考えられるだろうか。
その上、通常ならば盾になってくれるはずの母メアリー(モニーク)は残酷なまでに娘に毎日のように罵声を浴びせる。まさにどん底の生活。 しかし、こんな悲惨で絶望的な環境でありながらもプレシャスは運命を自分の足で切り開いていく。
こんなどんよーりしたストーリーではありますが、アメリカでは実際にありそうなお話でもあります。しかしこれは実話ではありません。実話でないことにちょっとホッとする自分がいました。
この作品の主人公プレシャスを演じるカボレイ・シディベは、本作がデビュー作で、この時演技の経験ゼロの全くの素人だったそうです。しかし、その素人っぽさが逆に、まるで”実在しそうな人物”のキャラクターを見事に作り上げたのかもしれません。
また、脇役陣の活躍も見逃せません。母親役のモニークは圧倒的な迫力でもって怠惰で暴力的な母親メアリーをみごとに体現、特に終盤の演技は、貧しさがここまで人間を捻じ曲げるものかと恐ろしくなるほどです。
そして注目したいのがソーシャルワーカー、ワイズ役のマライア・キャリー。言わずと知れたトップシンガーですが、ほぼノーメークで出演しているためステージでの華やかさはみじんもなく、一瞬誰なのか目を疑ってしまいます。下手をすると分からないという可能性もあります。
ですが、どん底のプレシャスを瀬戸際で支えるという重要な役を体当たりで演じています。
我が子のことを誰よりも愛しているのは母親。それなのにプレシャスはその母親の憎悪を向けられ惨い仕打ちを受ける日々…しかしプレシャスは意を決しそんな世界から抜け出そうと歩きだします。決してそれが明るい未来と約束されているわけではありません。でも彼女を前進します。自分の力で歩きだした彼女の決心は見るものに前向きな希望と勇気を与えてくれます。
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