メイヤー・ランスキーは禁酒法時代から’60年代後半にかけて暗躍したマフィアで『マネーロンダリングの創始者』と呼ばれている。

『ゴット・ファーザーPartⅡ』でアル・パチーノ演じるヴィトー・コルネオーネの宿敵であり、かつての盟友として現れるユダヤ系マフィアがハイマン・ロス。そのモデルとなったのがメイヤー・ランスキーだ。

’60年代、ランスキーはギャンブル、ホテル・ゴルフコースへの投資などで3億ドルを儲け、FBIのターゲットとなっていた。そんな彼が脱税容疑をかけられイスラエルに逃亡した時、運命の女性と出逢った。

年の差40、親子ほど離れていた運命の出逢い

ランスキーとの出逢い『They Called Him a Gangster』を書き下ろしたのは。イスラエル在住のZali de Toledoさん(’20年現在78歳）。トルコ生まれで17の時にイスラエルに移住。教育を十分に受けられなかった為、独学で語学を所得し、職を転々とする間に6か国語をマスターした。

Zaliさんがランスキーに出逢ったのはホテルのレストランで働いていた26の時。すでにランスキーは還暦を過ぎていた。

『ランスキーに出逢った時、おちゃめで頭のよさそうで、笑顔がチャーミングな人って思ったのよ。』一目ぼれだったのだから運命の出逢いなのだろう。その時の服は背広に蝶ネクタイだったと、今もはっきり覚えているという。

Zaliさんとの蜜月はランスキーが亡くなる直前まで続いていた。一時期、ランスキーが脱税裁判で揉めていた時を除き、ランスキーには妻と子供が居たにも関わらずZaliさんとの関係は続いていたというのだ。

『彼を冷酷無比なマフィアという人は大勢いるけれど、それは世間が作ったイメージじゃないかしら？本当の彼は繊細で面白くて、そんな人ではなかったわ。』Zaliさんは、生前、ランスキーから送られてきた直筆の手紙の内容も本に載せた。

10年間で350通に及ぶ手紙

禁酒法時代に密造酒で財を成し、ラッキー・ルチアーノ（写真左）やコーザ・ノストラなどのマフィアと肩を並べたランスキー。だがZaliさんの前ではマフィアの顔は一切見せなかったという。その代わりランスキーは若いZaliさんに、ブランドもののブレスレットやダイヤのイヤリングを次々プレゼントしていた。

Zaliさんはランスキーと付き合い1年半経った頃に妊娠が発覚。ランスキーは子供を欲しがったが産むか産まないかの決断は、Zaliさんに委ねた。その時に若いZaliさんは目が覚めたという。

『彼は脱税容疑をかけられ逃れてきただけ。本国には奥さんも子供もいる。だから堕ろす事にしたわ。』その直後’72年、ランスキーはFBIに送還され、’74年に裁判にかけられることになった。

『裁判にかけられている時が、一番手紙がとどいたわ。内容は日記のようなもの。ある時は心の痛み、ある時は政治情勢を嘆き、ある時はイスラエルについて…。』自分の思うことをつらつらとあてどなく書き、心を繋ごうとしていたのが判る。

飛行機代も払ってZaliさんを呼んでいた

ランスキーにはこの通り奥さんも子供もいたにも関わらず、飛行機代と宿代まで負担しZaliさんをマイアミまで呼び寄せた。

『久々に逢う彼はとてもいい人だった。彼の為に料理を作る事も許して貰えたし、ランスキーと共に踊って、ランスキーは私に”you are always in my heart”を歌ってくれたの』とZaliさんは語る。Zaliさんがイスラエルからマイアミに通う日々とランスキーからの手紙はなくなる数年前まで続いていた。

ランスキーが亡くなった日の事は今でも覚えている

Zaliさんは、ランスキーが亡くなった日、’83年1月15日の事を今でも覚えているという。

いつもモノトーンの服を仕事に着るというZaliさんだが、この日に限って明るめの色の服を選んだ。まさかとは思ったが、その日がランスキーがこの世から去る日だったというのだ。

Zaliさんは78歳の今も、MEMRI(中東報道研究所）のイスラエル調査員をしながら、私生活では3人の孫、1人のひ孫を抱え、公私共々忙しい生活を送っている。そんな彼女にとって忘れられない時は伝説のマフィア・ランスキーとの出逢いなのだ。

https://www.dailymail.co.uk/news/article-8561513/Secret-mistress-infamous-Mafia-kingpin-Meyer-Lansky-speaks-12-year-affair.html