老後の不安が吹っ飛ぶ!?シニアパワー炸裂『人生に乾杯』
先日『人生に乾杯』という映画を観ました。ある老夫婦物語なのですがなかなかの傑作だったので紹介させていただきます。
舞台はハンガリー。年金暮らしで苦しい生活を余儀なくされる老夫婦。その暮らしから抜け出そうと夫が起こした行動をきっかけに、長年連れ添った夫婦が再び絆を取り戻す姿を描いた作品です。ヨーロッパの小さな国で生まれた愛すべき物語です。 第38回ハンガリー映画週間で観客賞と部門賞を受賞。ハンガリーでは2007年、日本では2009年に劇場公開されました。
あらすじ
1950年代後半、エミル(エミル・ケレシュ)は、秘密諜報組織の摘発のため、ある邸宅に乗り込む。そこに、へディ(テリ・フェルディ)という若い女性が突然、天井からエミルの目の前に落ちてくる。ふいの出来事に戸惑うエミルに、へディはダイヤのイヤリングを差し出す代わりにその場を助けてもらう。労働者階級出身のエミル、一方ヘディは伯爵令嬢とあまりにも身分の違う二人だったが、この運命的な出会いがきっかけで、二人はたちまち恋に落ちていく。
それから約50年。ミエルは81歳、ヘディは70歳。二人は年金生活のアパート暮らし。年金受給もままならず、電気代さえきちんと払えないような生活である。そんな貧しい生活を送る二人は、出会った頃の気持ちなどすっかり忘れてしまっていた。そんなある日、借金のカタに、エミルの愛車チャイカと本のコレクションを確保するため、ふたりの思い出のダイヤのイヤリングが借金のカタに取られてしまう。高齢者に対する社会の冷酷さ、そして夫としての不甲斐なさ感じたエミルはある決意を胸に秘め、愛車チャイカに乗り込み、一人郵便局を訪れる。そこでピストルをチラつかせながら受付係にこう言った。「お嬢さん、有り金をこの袋に詰めて貰えんか」。なんとエミルは強盗をしたのだ。しかもとても紳士的に・・・
最初の強盗を皮切りに次々とエミルは紳士的な強盗を重ねていき、物語は展開していきます。1度は警察に協力した妻のヘディも夫の姿を目にし、かつての愛情がよみがえり、そして手を取り合い、二人の逃避行が始まるのです。
高齢者の年金問題というと、なにもハンガリーに限ったことではないですね。我々の国、日本でも今後ますます深刻化する問題ではないかと考えられます。さらに年金の支給年齢やその金額も不透明になっていくのではという不安もあります。だからこそ、この作品を観ることをおススめしたいのです。勘違いしないでくださいね、決して夫婦で銀行強盗をしろと言っているわけではないですから、ご注意を。きっかけは何であれ、立派な犯罪ですから!
恐らく、コミカルに作品を描きたかったがために「銀行強盗」を設定したのであろうと、勝手に解釈している私ですが(真意はわかりません!)、要するに、夫婦そろって共同で何かを成し遂げることに意味があるのです。最後はやはり愛情なのです。長年一緒に生活を共にしていれば、どんなに大恋愛を経て結婚したとしても、当時のときめきなどは薄れていくものです。しかしそれは愛が冷めてしまったのとは違うのではないのでしょうか。苦楽を共に味わってきたのですから。お互いに夫婦の愛情がもうなくなったと勘違いしてしまっている方。是非ご夫婦でこの作品をご覧になってみてはいかがでしょうか。
老夫婦の逃避行は歯切れよく、軽快に展開していきます。ミエルの迫力のない、紳士的すぎる銀行強盗、そして愛車のチャイカで軽やかに繰り広げる逃走劇も見ものです。衝撃的な結末を匂わせる終盤、しかし終わりはなぜかすがすがしい気持ちになる。タイトル通りまさに「人生に乾杯!」です。ちなみに原題は “Konyec”。ロシア語で「おしまい」という意味だそうです。う~ん。それを聞くと原題には何かもっと深い意味があるような気もします。
関連記事一覧
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
ゼンデイヤ、J.Loご指名デザイナー石油王のひ孫オーガスト・ゲディって誰?
©gaytimes.co.uk J.Lo、ゼンデイヤ、レイチェル・マクアダムス…若干25歳にしてハリウッドAリストセレブから指名され…
孤児院では殴られてばかり、愛してるって今更言われてもどうでもいい…ルーマニア独裁政権悲劇の遺産
©theatlantic.com 『ようこそ『ルーマニア』へ』 米コロラド州デンバー郊外の邸宅に住むイシドル・ラックル('20年現在…
『がんばれ!田中みのるくん』石塚大介がイケメン杉・東京福岡個展も!
インスタで約14万のフォロワーを持つギャク漫画家の石塚大介さん(28)が、 '20年10月23日~25日『ギャラリーうえまち』( 近鉄なん…
【ビフォーアフター】戦争で生き別れた3兄弟、90年後に再会して写真撮影?
©borepanda.com 先の大戦で生き別れになった3兄弟。ネットという名の文明の力でお互いの生存が判り、90年後に再会し、3人…
この記事へのコメントはありません。